1986年チェルノブイリ原発事故の後、人はその周辺の街を捨て誰も住まなくなり「死の地」と呼ばれるようになった。
そんな街で希少な野生馬が発見された。米国アリゾナ州立大学のピーターシュリーチング博士が率いる研究チームは、ベラルーシの「チェルノブイリ制限区域」(CEZ)で絶滅危惧種に指定された野生の馬が繁殖していると伝えた。
研究チームは2004年この地域に「モウコノウマ(Przewalski)」という種類の馬36頭を解放し、あちこちにカメラを設置した後、15年間の観察を続けてきた。昨年まで、地球上に現存する唯一の野生馬とされていたモウコノウマは、放射線被曝の人々が去った地で生存し、最初の4年間で2倍ほど個体数が増加した。
研究チームは、この野生馬がカメラを設置した10個のうち9つのカメラでは35回、8つのカメラでは、149回確認され、空き家と納屋などで長い時間を過ごすことが観察された。この馬は新しい環境を生き残るために空き家などを利用しているという事実を示し研究チームは説明した。
ジョージア大学准教授ジェームズ・ビーズリーは「野生馬は日常的に閉鎖地域を出入りしていた。今回の観察を介して収集した情報をもとに、野生馬の行動パターンについての研究を続ける」と述べた。
研究者は、「人間が消えて自然の変化は、減少した」としながら、放射線被曝に人が去った地を動物たちが占有したと付け加えた。潜在的な放射能の影響とは無関係にチェルノブイリ制限区域は、現在、野生哺乳類の住処となった。この地域には、ワイルドホースのほか、ウサギやシカ、アライグマ、オオカミ、バットなどが生息している。また通常の個体よりも巨大化していることも確認できた。
1879年に探検家がモンゴルで発見自分の名前を付けたモウコノウマは現存唯一の野生馬と考えられる。しかし米国カンザス大学の研究者は、昨年初めの科学誌「サイエンス」を通じて野生のモウコノウマではなく、家畜の子孫であることがわかったと述べた。しかし現在は家畜ではなく野生として生きているのは事実である。