ドイツのナチス指導者アドルフ・ヒトラーの腕時計がアメリカのオークションにて110万ドル(約1億5000万円)で落札された。
この時計を扱ったのはアレクサンダーヒストリカルオークション(AlexanderHistoricalAuctions)でヒトラーのイニシャルである「AH」が刻まれているだけでなく、ハーケンクロイツも確認できる。時計を製造したのはドイツの高級時計会社フーバー社。
オークション会社によると、この時計はヒトラーの1933年の誕生日プレゼントとしてプレゼントされた。1933年はヒトラーが第15代ドイツ大統領になった年でもある。ただヒトラーはこの時計を着用することはほとんどなかったという。
この時計を入手した経緯は、ドイツが降伏したあと、フランス軍人がヒトラーの隠れ家や家、トンネルなどを探したところ、この時計を発見したという。発見された時計は、親戚に売られ、親戚はそれを子孫に渡し、2019年にオークションハウスに連絡した。
ただユダヤ人の間では反発が起きており、欧州ユダヤ人協会の事務総長など34人のユダヤ人指導者たちは、今回のオークションを「嫌悪なもの」として中断するよう要請した。
欧州ユダヤ人協会会長は「このオークションは無意識的にナチスを支持している。歴史の教訓をはっきり学ぶ必要があり、正当なナチの遺物は博物館あるいは教育機関に属しなければならないが、競売で売る物品はそうではない。金銭的利益のために他人の記憶、苦痛を無視している」と批判した。
世界二大オークション会社であるクリスティとサザビーはもちろん、eBay、Facebookなどでもナチス関連の物品販売は厳しく禁止されているが、個人や小規模オークションによる取引は行われている。特にこのオークションは、以前にヒトラーが着ていた下着、使用した便器などの物品を売って批判を受けたことがある。